「自社施工で“中間マージン”が掛からないので安いですよ」
・・・実は誤解です。
リフォームは、工事内容によって多くの職種の職人が関わり工事を完成させますが、すべての職人を社員として雇っている会社はほとんど存在しません。
つまり、
「完全自社施工」はほぼあり得ないのです(※1)。
そのため、どのリフォーム会社でも外注の職人を手配するので「中間マージン」は発生します。
本当の意味で費用が高くなるのは、
「無駄な中間マージン」が含まれている場合です。
この記事では、中間マージンの正体をわかりやすく解説し、
無駄な中間マージンで金額だけが高くなる業者を見分ける方法まで紹介します。
(※1:キッチン・浴室リフォーム、大規模なリノベーションなどの場合)
1.“自社施工100%”という言葉のカラクリ
自社施工の意味は、
「全部うちの社員で施工します」というものです。
リフォーム工事は、「大工」「電気」「水道」「ガス」「左官」「内装」「塗装」など、複数の職種の職人が関わってはじめて工事が完成します。
ところが、
これらすべての職種を自社の社員として常時抱えている会社は、ほとんど存在しません。
大きな理由は、
この “工事量の変動” と “人件費の課題” があるため、全職種を自社だけで雇い続けるのは現実的ではありません。
そのため、ほとんどのリフォーム会社は、「自社職人+提携している外注職人」という体制が一般的なのです。
2.中間マージンは“必ず”発生する費用
外注の職人が関わる以上、リフォーム工事では中間マージンは必ず発生します。
では、中間マージンを『ゼロ』にする方法はあるのでしょうか?
理論上はあります。それは――
すべての職種の職人へ、あなたが直接依頼すること。
大工、電気、水道、ガス、内装…
各職人に自分で連絡し、日程を調整し、工事を管理する。
これができれば中間マージンは必要ありません。

しかし現実的に、これは不可能です。
リフォーム工事は段取り・工程管理・現場のトラブル対応など、各職人たちが正確に動かなければ完成しないからです。
そこで重要になるのがリフォーム会社の「現場管理」です。
現場管理は、見積もりで「現場管理費」や「諸経費」として計上されていて、この管理業務の一部が中間マージンに相当するものです。
「中間マージン=正体不明」の上乗せ費用ではなく、
現場を安全に、確実に工事を進めるために必要な“正当なコスト”ということです。
決して無駄な費用ではありません。
しかし中間マージンには、「良い中間マージン」と「悪い中間マージン」があります。
3.良い中間マージンと悪い中間マージンの違い
◎良い中間マージン
現場管理費など、消費者にとって価値のある費用。
⇒工事を確実に進めるために、職人手配や工程管理などを自社で適切に行っている場合です。
元請けリフォーム会社(現場管理)
↓
下請け会社(各種職人)
✕悪い中間マージン
単なる“丸投げ”で価値がない費用。
元請けのリフォーム会社は工事を丸投げしているのに、中間マージン(利益)だけ取っている場合です。
元請けリフォーム会社(利益だけ搾取)
↓
下請け会社(現場管理)
↓
孫請け(各種職人)
4.中間マージンの良し悪しを見分ける方法
良い中間マージンかどうかを見極める簡単な方法は、
「現場管理は社員の方がしますか?」と聞いてみてください。
「はい」 → ◎
「いいえ」 → △
「あいまいに答える」 → 要注意
「いいえ」と答えた場合でも、
明確な理由や納得のいく説明があれば、それは「必要なコスト」と判断できます。
しかし、
あいまいに答えたり、説明に納得できない場合、中間マージンは“無駄なコスト”になってしまう可能性があるので注意が必要です。
5.まとめ:高くなる原因は“中間マージンそのもの”ではない
自社施工は「中間マージン」がかからないから安く、下請けに依頼している会社は、「中間マージンが掛かるから高い」と思ってしまいがちです。
しかし実際には、“完全自社施工”という会社はほとんど存在しません。
リフォームは各専門職がチームとなって仕上げるため、一部の外注職人を使うことはごく自然なことです。
その際、必要な現場管理に使われている「中間マージン」は適正な費用であり、それ自体は必要なコストで、無駄に費用を高くしているわけではありません。
無駄に費用を高くしているケースは、
工事を丸投げしている会社が取る“自社利益だけの中間マージン”が含まれている場合です。
中間マージンの本質を知れば、どの会社が適正価格で安心できるか、自信を持って判断できるようになります。
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